孤独な税関職員のティーナは、ある日、謎の男に出会う――。


スウェーデンの税関に勤めるティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける能力を持っていたが、生まれつきの醜い容姿に悩まされ、孤独な人生を送っていた。
ある日、彼女は勤務中に怪しい旅行者ヴォーレと出会うが、特に証拠が出ず入国審査をパスする。ヴォーレを見て本能的に何かを感じたティーナは、後日、彼を自宅に招き、離れを宿泊先として提供する。次第にヴォーレに惹かれていくティーナ。しかし、彼にはティーナの出生にも関わる大きな秘密があった――。
第71回カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に出品され、俳優のベニチオ・デル・トロら審査員を驚嘆させ、見事グランプリを受賞した作品が『ボーダー 二つの世界』だ。人並外れた嗅覚を持ちながらも醜い容貌のせいで孤独を強いられるティーナが、ある男との出会いにより、人生を変えるような事件に巻き込まれていく。
イラン系デンマーク人の新鋭アリ・アッバシ監督と“スウェーデンのスティーヴン・キング”と称され、『ぼくのエリ 200歳の少女』の原作者としても知られるヨン・アイヴィデ・リンドクヴィストが原作と共同脚本を手掛けた本作は、ジャンル映画の枠を超えて高い評価を受け、本年度アカデミー賞®メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート、第54回スウェーデン・アカデミー賞で作品賞をはじめ最多6部門を受賞するなど、各国の映画賞を席巻した。なお、本作には各国の映画祭で「ショッキング過ぎる」と話題になったシーンがあったが、製作者の意向を汲み修正は一切無し、ノーカット完全版での日本公開を決定。
謎が謎を呼び、螺旋のように絡み合いながらたどりつく、心をわしづかみにされるような衝撃の真実。 北欧映画の新時代を予感させる傑作が、ここに産声をあげる!
スウェーデンの税関に勤めるティーナは、違法な物を持ち込む人間を嗅ぎ分ける能力を持っていたが、生まれつきの醜い容姿に悩まされ、孤独な人生を送っていた。
ある日、彼女は勤務中に怪しい旅行者ヴォーレと出会うが、特に証拠が出ず入国審査をパスする。ヴォーレを見て本能的に何かを感じたティーナは、後日、彼を自宅に招き、離れを宿泊先として提供する。次第にヴォーレに惹かれていくティーナ。しかし、彼にはティーナの出生にも関わる大きな秘密があった――。
アリ・アッバシ
( 監督・脚本 )
1981年、イラン生まれ。工科大学での研究をやめて、建築を研究するために最終的にスウェーデンのストックホルムに移り住んだ。2007年、建築学の学士号を取得。その後デンマーク国立映画学校に入学し、演出を学ぶ。最初の監督・脚本長編作品『Shelly(原題)』(16)は、2016年のベルリン国際映画祭のパノラマセクションでプレミア上映を果たした。
ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト
( 原作・脚本 )
1968年、スウェーデン生まれ。スウェーデン人作家。首都ストックホルム郊外のブラッケバーリで生まれ育つ。手品師として、北欧のカードトリック選手権で2番に入賞。その後は、12年間スタンドアップコメディアンとして活動。テレビシリーズ「Reuter&Skoog(原題)」(99-01)のほか、舞台演劇やテレビドラマの脚本も書いている。彼の最初の小説で、『ぼくのエリ 200歳の少女』の原作でもある「Let the Right One In」は、その洗練されたストーリーテリングと、ホラーとイマジネーションへの強い力などが網羅された一連の内容が評価され、2005年ノルウェーでの翻訳本ランキングで最優秀小説、スウェーデンのラジオの文学賞および、2008年のセルマ・ラーゲルレーヴ文学賞の受賞者に選ばれた。また、2008年北欧理事会文学賞の最優秀賞を受賞し、2015年にはアウグスト賞にノミネートされた。
ここ数年は、独立していながらも関連性のある「I Am Behind You」,「I Always Find You」,「Our Skin」,「Our Blood」,「Our Bones and The Last Place」などの小説のコレクションを発表することで、ジャンル分野での強い地位を維持してきた。
ヨーラン・ルンドストルム
( メイクアップ )
1967年、スウェーデン生まれ。本作でスウェーデン映画協会よりゴールデン・ビートル賞の最優秀メイクアップ賞を受賞し、アカデミー賞®メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされた。『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(16)や『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11)、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』などでヘアメイクデザイナーを務めた。
パメラ・ゴールダマー
( メイクアップ )
本作でスウェーデン映画協会よりゴールデン・ビートル賞の最優秀メイクアップ賞を受賞し、アカデミー賞®メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネートされた。『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1』(10)、『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』(11)などに携わった。テレビシリーズでは、「ゲーム・オブ・スローンズ」(11-19)のうち10エピソードでメイクアップを担当。近作に『X-MEN: ダーク・フェニックス』(19)がある。
ペーター・ヨルト
( 視覚効果 )
1970年、デンマーク生まれ。『ドッグヴィル』(03)、『マンダレイ』(05)、『アンチクライスト』(09)、『メランコリア』(11)、『ニンフォマニアック』(11)、『ネオン・デーモン』(16)、『ホリデイ』(06)、『ハウス・ジャック・ビルト』(18)などを手がける。
※敬称略・順不同
強い詩。社会に見捨てられた者が人生において
愛と怒りの間で選択を迫られる、
大人のためのおとぎ話。
特殊メイクに興味があるなら、
これ以上に良い作品はない。
――ギレルモ・デル・トロ(映画監督)
こんな映画、観たことない。前代未聞!
――島田荘司 (作家)
幻想的な物語だが、そこにある痛みは、
あまりにもリアルで生々しく、息を呑んでしまう。
―――近藤史恵(作家)
「なんだ、やっぱり同じところあるよね?」
という甘い共感を打ち砕く物語。
安心させてくれない美。最高だ。
―――坂木司(作家)
森の匂い。獣の息づかい。苔の下の幼虫の蠢き。
一呼吸ごとに人間の鎧が脱げ、魂の双子を求める。
境界線が分けるもの、
それは性別でも血でもなく、
心の形の違い。
―――深緑野分(作家)
この作品には、
グロテスクな謎、グロテスクな恐怖、
グロテスクな美、そしてグロテスクな驚愕がある。
―――三津田信三(作家)
原初のメルヘンの衝撃。
僕らが痛みに慣れきった
現代の傷口を照らし出す閃光。
この映画は魔術的な落雷だ。
―――井上雅彦(小説家)
主人公の人物造形の圧倒的な完成度。
とにかく彼女が魅力的で、
その生き方から、目が離せない。
――乙一(作家)
これまでの概念、美意識、価値観、倫理観、偏見、
そしてジャンル映画の“ボーダー”さえも超えて、
破壊する。
決して、北欧ならではの御伽話では終わらせない。
この分断格差社会に警鐘を鳴らし、
世の真意を嗅ぎ分ける、
ポジティブなる異形への賛歌。
私たちの”ボーダー“が試され、
自身の”ボーダー“を超えられるかが問われる。
―――小島秀夫(ゲームクリエイター)
恐ろしくも、胸をざわつかせるファンタジー。
日本に伝わる伝承が思い浮かんだ。
―――畠中恵(作家)
いたるところで亀裂が走り、
〈われら〉と〈やつら〉に分断が進む世界を、
この映画は正気に押し戻そうとする。
―――有栖川有栖(小説家)
ひそやかに境界(ボーダー)を
出で入るモノたちの悲哀と絶望と歓喜。
誰も知らない北欧の神秘(ミステリー)が、
あなたの胸奥を直撃する。
―――東雅夫(アンソロジスト/幻想文学評論家)
生半可でない、究極の「違い」を
受け入れられるか。ルッキズム、身体、
ジェンダー、異能、習慣、文化、歴史……。
―――三辺律子(翻訳家)
黒いファンタジーはこれほどまでに
残酷で哀切だ。
―――倉知淳(作家)
ジャンルの枠組みを超越し、
ロマンス、北欧ノワール、社会的リアリズム、
ファンタジーを巧みにミックスさせた作品。
―――Variety
★★★★★
アリ・アッバシ監督は、
アウトサイダーの辛辣な寓意をもって、
不気味で素晴らしいものを作り上げた。
―――Time Out
『ドラゴン・タトゥーの女』が
犯罪スリラーにもたらしたように、
スウェーデンの感性を
ホラー・ファンタジーのジャンルにもたらした。
永遠の夜の国へようこそ。
―――Arizona Republic
忘れられない場所に
あなたを連れて行ってくれる。
――The Wall Street Journal